

古の都・京都の西、保津川の深い谷を抜けると、丹波の盆地が現われます。その里山の奥にひっそり続く清流が、名勝「るり渓」です。岩を噛むその流れに雄大さはありませんが、丹波の山にふさわしく日本的で細やかな美しさがあります。

全管連に所属する組合員が田舎暮らしを体験するための
全管連が再整備した京都府南丹市園部町の西京都・るり渓清流台は、その流れの上流にあります。京都や大阪から車で1時間半あまりのここには、週末ともなると、多くのオーナーがそれぞれのセカンドライフを楽しみにやってきます。
ログハウスの前でガーデニングに余念がないのは、岩下さんご夫妻。庭の石垣から植え込みまで、すべて自分たちの手造りです。月に2、3回やってきて庭の手入れをしたり、友人たちを招いてパーティを開きます。
「ここを建てたのは、3年前です。住んでいる芦屋にも緑は多いのですが、やはりここは全然違います。渓流があるのでマイナスイオンが多いのか、ここに着くと空気の違いを感じます。そして、とにかく水が美味しい。お風呂に入っても、お湯がすごく柔らかいんですよ」
「……2年前かな? ドライブでたまたまここを通りかかり、その場ですぐにせせらぎを見下ろすここを申し込みました。そのとき、現金は5000円ぐらいしかなかったのですが(笑)」
と、語るのは京都の真ん中に住む松見さんご夫妻。
「まだ家を建てたばかりなので、今後どうするか思案中です」
近くの路上で、畑の花を写生している人がいました。大阪で43年間勤め上げ、1年半前からここに住んでいる武谷さんです。
「最初、娘たちは反対したのですが、もう、勝手にさせてや!と宣言しました。田舎暮らしを望んでいた友人は、こういう場所があっても踏ん切りがつかなかったようです。でも、私はもともと九州の田舎で育ったので、ここへは逃げ帰ったようなものです(笑)。来てよかったと本当に思います。ここは夏になると蛍が飛び交うんですよ」
立ち並ぶログハウスの中に、ユニークな建物がありました。濃緑の大きな壁、シンプルで箱のような外観……。裏側のウッドデッキで、オーナーの円尾さんが読書をしていました。円尾さんは、この家を友人とシェア(共有)しています。
「ここは自分たちで設計し、建てました。コンセプトは、固定したキャンピングカー"です。要するに、キャンプを楽しむための建物なのです。したがって、玄関も風呂もありません。風呂は、近くのるり渓温泉に行けばいいのですから……」
土地を購入後、円尾さんたちはしばらくここを専用キャンプ場として、テントで寝泊まりしていたそうです。やがて、キャンプを快適に過ごすために、まずウッドデッキを作り、さらに女性のトイレを確保し、雨を避ける施設を手造りしました。それが、この建物だったのです。
週末の金曜日、大阪で仕事を終えて午後9時に自宅を出れば、ここに着くのは午後10時半頃。それから焚き火を眺めながら、ワインを楽しむ時間が十分にあります。自宅のセカンドルームとして、ここは円尾さんたちの暮らしにすでに組み込まれているのです。
「ここを建ててから、生き方や考え方が変わりました。仕事のオンとオフがはっきりするようになったのです。ここは、いわばぼくの隠れ家なんですよ」
円尾さんは建築にあたり、全管連の担当者との連絡を、すべてインターネットのメールで交わしたそうです。そしていま、円尾さんの目覚まし時計は、林から聞こえてくる小鳥の鳴き声に代わりました。