
昭和7年に建立された石仏
杉の木立の中に家々が立ち並ぶ
岡山県との県境に近い兵庫県宍粟市の峰山高原サンシティ希望ヶ丘の家々は、ほとんどがログハウスです。素麺で有名な揖保川の上流、染河内川の源流近くの静かな谷には、ログハウスがとても似合います。全管連は自然への負荷が軽く、建物の 室内環境に優れた「木の家」の建設を積極的に進めてきました。
上野は、かつて休眠分譲地を探して神戸の六甲山中を車で走っていたとき、1軒のログハウスと出会い、「第2の人生にはログハウスがおもしろい」というインスピレーションを得ました。そして、自らもログハウスを建て、電話ボックスまで木材で造られているスウェーデンのダーラナ地方を手本に、ログハウスによる街づくりを目指してきました。その成果のひとつが、峰山高原のここです。
「杉林なので、枝打ちや下草刈りなどの手入れが必要です。でも、組合員のなかには、すべて自然のままに放置しておいてほしいという方もいます。そういう方たちと話し合って、ログハウスにふさわしい森を造っていくのが私の仕事です」
と、全管連の橋本さん。
山仕事が好きだ、
地元の方々が3年前にここに移り住んだ橋本さんは、もともと山仕事が好きで、管理人としての働きぶりが好評です。冬には、40〜50センチの雪が積もる道路の除雪も、重要な仕事。橋本さんが常駐する全管連・山崎総合管理センターは、かつて日本中で見かけた板壁の木造建築です。
管理センターの近くで、遠藤さんという女性と出会いました。
ここに家を建てたのは、3年前です。主人はリタイアして、いまはこっちで陶芸をやっています。私は別の仕事を持っているので、ウィークデーは以前住んでいた尼崎のマンションで暮らし、週末だけ戻ってきます。いわば『出稼ぎ』ですね(笑)。ここに来るととても気分転換になります。主人は、もとの家にときどき帰るのが気分転換になるって言ってますけど(笑)」
田舎暮らしをしたいとずっと考えていた遠藤さんご夫妻は、全管連の新聞折り込みチラシの「移住者募集」広告を見てここを訪れたとき、即決で土地を買ったそうです。購入と同時に家を建て、この西播磨の山中と尼崎を約2時間かけて行き来する暮らしが始まりました。
「初めの頃は、手間がかかることをしてしまったなぁ、と思っていました。高速代やガソリン代の経費もかかるし……。でも、いまは、ここにもひとつ家があるのが、心の支えやゆとりになっています」
---こちらに来て、いちばん楽しいことは?
「畑仕事ですね。全管連の貸農園システムを活用して、地元の方から近くの畑を半分借りています。草取りなどが大変ですけれど、私は都会育ちなので、野菜が育つのを見ると、本当に『ああ、命やなぁ』と感じます」
遠藤さんの家の近くに、「名水 大日の水」と大きく書かれた看板があります。太い竹の筧から、豊富な水が流れ落ちる湧き水です。その水を汲みに、遠く姫路から定期的に訪れる人もいるそうです。近くに建立された大日如来の小さな石仏が、そこを貴重な水源として守ってきた地元の人たちの伝統を伝えています。その周囲には玉砂利が敷かれ、橋本さんの手できれいに掃除されていました。
居住者と畑の貸し借りができるような、地元との信頼関係。伝統や風習を守る、地元との共生。それが、休眠分譲地の再開発・再整備を行なってきた全管連の基本です。
「大日の水」から生まれた流れは、やがて染河内川に注ぎ、夏に乱舞する蛍を育みます。